ご報告

07.04.27 映像対策会議 報告会資料                              報告者:守屋俊郎

昨年10月から今年2月にかけて、経団連の仲介で内閣知財本部、総務省、経産省、文化庁の関係4省庁のオブザーバー参加を得て、NHK、民放連、ATP、映連、音事協、芸団協の6団体で放送番組の出演契約について協議が重ねられ、その結果、画期的なガイドラインの合意がなされました。これは本年3月8日に公表されたその報告書の抜粋です。(6団体合意の経団連報告書全文については経団連及び4省庁のホームページをご覧下さい)


映像コンテンツ大国を実現するための検討委員会

<はじめに>
 コンテンツは、国民に幅広い知識と心の豊かさをもたらすとともに、わが国経済社会の持続的発展を支え、またソフト・パワーの源泉となるものとして、ますます重要になっている。
 2002年2月の小泉総理大臣(当時)の施政方針演説における「知的財産立国宣言」を受け、政府は同年11月に知的財産基本法を成立させ、以後、知的財産政策の重要な柱としてコンテンツの振興に取り組み始めた。また、自民党においても2003年12月にコンテンツ産業振興議員連盟を設立し、同議員連盟が中心となり、2004年6月に「コンテンツの創造、保護及び活用の促進に関する法律」を議員立法により成立させた。こうした動きは、従来からのものづくりに加え、文化・コンテンツをはじめとする無形資産を国富の源泉と位置づけるものとして高く評価される。
 そうした中、政府の知的財産戦略本部においても、コンテンツ業界における契約慣行の改善や透明化に向けた取組みを進めるとともに、関係者全体が潤うコンテンツ大国を目指すため、関係省庁が一体となって、契約に関するルールづくりを進めるための取組みを進めている。
 こうした動きを受け日本経団連では、2006年10月に、知的財産戦略推進事務局、総務省、文化庁、経済産業省のオブザーバー参加を得て、実演家、放送事業者、映画製作者、番組製作会社を代表する団体・機関の首脳による「映像コンテンツ大国を実現するための検討委員会」を設置した。同委員会では、放送番組、映画についての2つのワーキンググループを設置し、優れたコンテンツの創造や、国際展開を含めたマルチユース、契約の書面化、アーティストの活躍の場の創出等の重要性についての共通認識の下、相互理解を深めるとともに、映像コンテンツ産業のさらなる発展に向けた諸方策について検討を行った。本報告書は、これらにおける議論の成果をとりまとめたものである。


放送番組における出演契約ガイドライン


(ガイドラインの位置付け)
  放送番組への出演に際し、放送事業者または番組製作会社と所属事務所・実演家との間で書面契約を締結しない場合において、出演前に、慣行として当事者間で確認されるべきものとする。また、書面による契約を締結する場合においても参考とされるべきものとする。なお、関係団体間において既に団体協約等が取り交わされている場合は、当該協約を優先することとする。
(契約の目的)
・放送番組への出演に関する役務提供契約であることを確認する。
・放送番組の番組名、番組1回の時間および放送予定回数、放送予定、放送波、製作予定期間など役務の内容を特定するために必要な事項を確認する。

(契約の当事者)
・ 実演家の所属事務所が実演家の代理人として契約する場合には、所属事務所が代理権限を有していることを保証する旨を明記するとともに、可能な限り、実演家本人も署名(記名)押印することにより、同人が契約内容を了知し、それに同意していることを明らかにすることを確認する。

(出演条件等)
・出演料の総額とその内訳、支払い方法、支払い予定日等を確認する。
・経費の扱いを確認する。

(出演業務・出演に伴う義務)
・実演家は、番組製作に支障をきたすことのないよう留意し、出演スケジュールを順守することを確認する。
・実演家は、放送事業者・番組製作会社(または指定する者)が、番組の宣伝のために解説・予告番組を製作する場合、または各種の広報活動のためにスチール写真の撮影等を行う場合には、これに協力することを確認する。

(スケジュール変更)
・放送事業者・番組製作会社は、放送事業者・番組製作会社または第三者の都合により出演スケジュールを変更しようとする場合は、あらかじめ実演家または代理人と協議のうえ新たにスケジュールを定めることを確認する。

(キャンセル)
・実演家が出演依頼を受諾した後に、放送事業者・番組製作会社の都合により番組出演を取り消した場合は、放送事業者・番組製作会社は一定のキャンセル料を支払うことを確認する。
・実演家が出演依頼を受諾した後に、実演家自身の責に帰すべき事由により、出演を取り消し放送事業者・製作会社に損害を生じさせた場合は、放送事業者・番組製作会社は所属事務所・実演家と協議のうえ、所属事務所・実演家に対し、補償を求めることができることを確認する。
・ただし、放送事業者・番組製作会社もしくは所属事務所・実演家が、出演または収録予定日の前の一定期間までに、止むを得ない事由により、番組出演の取り消しの通知をした場合はこの限りではない。

(氏名表示)
・従来からの公正な慣行に照らし、第三者が作品内容を的確に理解できるよう氏名表示を行うことを確認する。

(安全管理・事故補償)
・放送事業者・番組製作会社は番組製作にあたり、実演家に危険を及ぼすことのないよう配慮し、安全管理に相当の注意を払うことを確認する。
・万一、番組製作(リハーサルを含む)に起因して実演家に事故が生じた場合、その補償、損害賠償などにつき、実演家(またはその代理人)の申し入れに対して、円滑な処理が可能になるよう放送事業者・番組製作会社は誠実に対応することを確認する。
・番組製作における危険性を考慮しつつ、放送事業者・番組製作会社は、必要に応じて保険に加入することを確認する。

(マルチユース)
・番組の収録・保存・使用について、著作権法、公正な契約慣行等を踏まえつつ、放送事業者・番組製作会社側、実演家側の協議により、以下の項目の取扱いについて確認する。
  −国内外の放送事業者や有線放送事業者等への番組の提供
  −パッケージによる市販商品化
  −映像・音声素材の提供(書籍出版物への提供含む)
  −インターネット、モバイルへの番組・素材の提供
  −番組関連グッズ等の市販商品化
  −その他、確認されるべき利用形態  
・マルチユースに係る対価については、著作権法、公正な契約慣行等を踏まえつつ、個別の出演契約において定めることができる。ただし、利用の形態・規模等の条件により、団体間の協約がある場合はそれに従う。

(別途協議事項)
・両者において確認していない事情が生じた場合または確認事項の解釈に疑義が生じた場合は、誠意をもって協議し円満に解決することを確認する。

<おわりに>
 放送番組、映画をはじめとする映像コンテンツの海外展開を含めたマルチユースの促進は、わが国コンテンツ・ビジネスの飛躍的拡大、日本文化の発信による国際理解増進に資するものである。その実現のためには、本報告書で掲げた課題を含め、実演家、放送事業者、番組製作会社、映画製作者をはじめ関係者による多大な努力が必要であることは論をまたない。同時に、知的財産戦略推進本部や、総務省、文部科学省、経済産業省をはじめとする関係省庁がこれまで以上に連携し、必要な制度改革および財政措置を推進することも必要である。
 本報告書が契機となり、映像コンテンツ大国実現に向け、関係者の相互理解がさらに深まり、課題解決に向けた取組みがさらに加速することを期待する。

以 上  

<ガイドラインの周知徹底>
「放送番組における出演契約ガイドライン」を関係団体、団体構成員等に
広く周知し、同ガイドラインが幅広く参照・活用されるための努力を行う。






映像コンテンツ大国を実現するための検討委員会委員名簿
(敬称略・順不同)          

〔座 長〕
エンターテインメント・ロイヤーズ・ネットワーク理事長 久保利 英 明
日比谷パーク法律事務所代表
〔委 員〕
全日本テレビ番組製作社連盟理事長 工 藤  英 博
PDS代表取締役
日本映画製作者連盟顧問 高 井  英 幸
東宝社長
日本音楽事業者協会会長 井 澤    健
渡辺プロダクション社長
日本芸能実演家団体協議会会長 野 村    萬
人間国宝
日本放送協会会長 橋 本  元 一
日本民間放送連盟副会長 村 上  光 一
フジテレビジョン社長
日本経団連産業問題委員会エンターテインメント・コンテンツ産業部会長 依 田    巽
ギャガ・コミュニケーションズ会長
〔オブザーバー〕
閣官房知的財産戦略推進事務局内閣参事官 杉 田  定 大
         〃           内閣参事官 中 川  健 朗
総務省情報通信政策局情報通信政策課コンテンツ流通促進室長 小笠原  陽 一
文化庁長官官房著作権課長 甲 野  正 道
 〃  文化部芸術文化課長 鬼 澤  佳 弘
経済産業省商務情報政策局文化情報関連産業課長 小 糸  正 樹
 
事務局: 日本経団連産業第一本部






映像コンテンツ大国を実現するための検討委員会
放送番組における映像実演の検討WG委員名簿
(敬称略・順不同)         

〔主 査〕
エンターテインメント・ロイヤーズ・ネットワーク専務理事 松 田  政 行
森・濱田松本法律事務所
〔委 員〕
全日本テレビ番組製作社連盟理事 高 村     裕
         〃      事務局長 稲 垣     健
日本映画製作者連盟テレビ部会委員 塚 田  泰 浩
東宝映像制作部部長
日本映画製作者連盟著作権部会委員 中 川  昌 義
東映映像版権営業部次長代理
日本音楽事業者協会会長付 中 村  吉 二
      〃      事務局長 山 崎  博 司
実演家著作隣接権センター法制関連委員会委員 浅 原  恒 男
日本俳優協会事務局長
実演家著作隣接権センター 運営委員(映像関連業務委員会委員長) 守 屋  俊 郎
映像実演権利者合同機構(PRE) 代表理事
日本放送協会ライツ・アーカイブスセンター(著作権・契約)副部長 梶 原     均
    〃    放送総局特別主幹 関 本  好 則
フジテレビジョン総務局専任局長 三 好  久 雄
日本民間放送連盟知的所有権対策委員会IPR専門部会コンテンツ流通部会主査 千 葉  晋 也
フジテレビジョン編成制作局知財情報センター著作権部長
〔オブザーバー〕
内閣官房知的財産戦略推進事務局参事官補佐 大 塚  祐 也
         〃            参事官補佐 渡 邉  倫 子
総務省情報通信政策局コンテンツ流通促進室長 小笠原  陽 一
  〃 情報通信政策局コンテンツ流通促進室課長補佐 倉 田  哲 郎
文化庁長官官房著作物流通推進室長 川 瀬     真
  〃 文化部芸術文化課課長補佐 新 木     聡
経済産業省商務情報政策局文化情報関連産業課課長補佐 井 上  悟 志
   〃   商務情報政策局文化情報関連産業課課長補佐 太 田  茂 雄
 
事務局: 日本経団連産業第一本部